衛生管理者試験の合格基準は、単純に「全体で60%取れば合格」ではありません。第一種・第二種とも、科目ごとに40%以上を取り、そのうえで合計得点が60%以上になる必要があります。
さらに第一種では、労働衛生と関係法令が「有害業務に係るもの」と「有害業務に係るもの以外」に分かれており、それぞれの範囲で40%以上が必要です。つまり、第一種は5つの範囲、第二種は3つの科目を確認してから総合点を見ると整理しやすくなります。
- 共通ルール:科目・範囲ごと40%以上+合計60%以上
- 第一種:400点満点なので合計240点以上。さらに5範囲すべてで40%以上
- 第二種:300点満点なので合計180点以上。さらに3科目すべてで40%以上
- 第二種を問題数で見ると:30問中18問以上+各科目10問中4問以上
- 第一種:1問あたり8点と10点の問題があるため、正解した問題数だけでは合否を判定できない
- 足切り:合計60%を超えても、1科目・1範囲でも40%未満なら不合格
衛生管理者の合格基準は「各40%以上+合計60%以上」
公益財団法人安全衛生技術試験協会は、学科試験の合格基準を「科目ごと、第一種で範囲が分かれているものは範囲ごとの得点が40%以上で、かつ合計60%以上」としています。この2つの条件を同時に満たす必要があります。
そのため、模試や過去問の自己採点では合計点だけを確認してはいけません。先に科目・範囲ごとの40%を確認し、その後に合計60%を確認する順番にすると判定ミスを防げます。
| 区分 | 問題数 | 満点 | 合計基準 | 40%を確認する単位 |
|---|---|---|---|---|
| 第一種 | 44問 | 400点 | 240点以上 | 5範囲 |
| 第二種 | 30問 | 300点 | 180点以上 | 3科目 |
※240点・180点は、安全衛生技術試験協会が示す配点と「合計60%以上」という基準から計算した値です。
公益財団法人 安全衛生技術試験協会|第一種・第二種衛生管理者の紹介・試験科目・合格基準
第一種衛生管理者の合格基準
第一種衛生管理者試験は44問ですが、すべてが同じ配点ではありません。有害業務に係る労働衛生・関係法令は1問8点、それ以外の範囲と労働生理は1問10点で、合計400点です。
ここが第二種との大きな違いです。44問中何問正解したかだけでは得点が確定しないため、第一種について「○問正解なら必ず合格」と一律に言うことはできません。
第一種は44問・400点満点
| 科目・範囲 | 問題数 | 配点 | 1問 | 40%を超える最低正答数 |
|---|---|---|---|---|
| 労働衛生 有害業務 | 10問 | 80点 | 8点 | 4問 |
| 労働衛生 有害業務以外 | 7問 | 70点 | 10点 | 3問 |
| 関係法令 有害業務 | 10問 | 80点 | 8点 | 4問 |
| 関係法令 有害業務以外 | 7問 | 70点 | 10点 | 3問 |
| 労働生理 | 10問 | 100点 | 10点 | 4問 |
| 合計 | 44問 | 400点 | - | 240点以上も必要 |
7問70点の範囲では40%が28点なので、2問正解の20点では不足し、3問正解の30点で基準を超えます。有害業務の10問80点では32点が40%なので、4問正解が必要です。
第一種の足切りは5範囲で判定する
第一種で特に間違えやすいのが「労働衛生全体で40%あればよい」という理解です。労働衛生は有害業務と有害業務以外を別々に判定し、関係法令も同様に2つの範囲へ分けて確認します。
- 労働衛生|有害業務に係るもの
- 労働衛生|有害業務に係るもの以外
- 関係法令|有害業務に係るもの
- 関係法令|有害業務に係るもの以外
- 労働生理
5範囲のうち1つでも40%未満なら、ほかの範囲で高得点を取っていても合格基準を満たしません。
第一種は26問正解で合格する場合も、27問正解で不合格になる場合もある
第一種が「何問正解すれば合格」と言い切れないことを、公式配点から計算した2つの例で確認します。どちらも当サイトが説明用に作成した計算例であり、安全衛生技術試験協会が公表している受験者の実例ではありません。
26問正解でも合格基準を満たす例
| 範囲 | 正解数 | 得点 | 40%基準 |
|---|---|---|---|
| 労働衛生・有害 | 4/10 | 32/80 | ○ |
| 労働衛生・有害以外 | 7/7 | 70/70 | ○ |
| 関係法令・有害 | 4/10 | 32/80 | ○ |
| 関係法令・有害以外 | 7/7 | 70/70 | ○ |
| 労働生理 | 4/10 | 40/100 | ○ |
| 合計 | 26/44 | 244/400 | 合格基準を満たす |
この例では26問正解ですが、すべての範囲で40%以上を取り、合計も244点で60%を超えています。したがって、現行の公式基準に照らすと合格条件を満たします。
27問正解でも不合格になる例
| 範囲 | 正解数 | 得点 | 40%基準 |
|---|---|---|---|
| 労働衛生・有害 | 10/10 | 80/80 | ○ |
| 労働衛生・有害以外 | 3/7 | 30/70 | ○ |
| 関係法令・有害 | 7/10 | 56/80 | ○ |
| 関係法令・有害以外 | 3/7 | 30/70 | ○ |
| 労働生理 | 4/10 | 40/100 | ○ |
| 合計 | 27/44 | 236/400 | 不合格 |
27問正解しており、5範囲すべてで40%以上を確保しています。それでも合計は236点で、必要な240点に4点届かないため合格基準を満たしません。
第一種では、有害業務に係る20問が1問8点、それ以外の24問が1問10点です。そのため、同じ27問正解でも「どの問題を正解したか」で合計点が変わります。
第一種の自己採点では「44問中○問正解」だけで判断せず、必ず範囲別の正解数と配点まで確認してください。
第二種衛生管理者の合格基準
第二種は第一種より判定がシンプルです。関係法令・労働衛生・労働生理がそれぞれ10問100点で、全30問300点のため、通常受験者は問題数からも合否ラインを確認できます。
第二種は30問中18問以上+各科目4問以上
| 科目 | 問題数 | 配点 | 40%を超える正解数 |
|---|---|---|---|
| 関係法令 | 10問 | 100点 | 4問以上 |
| 労働衛生 | 10問 | 100点 | 4問以上 |
| 労働生理 | 10問 | 100点 | 4問以上 |
| 合計 | 30問 | 300点 | 18問以上 |
第二種では1問10点なので、18問正解で180点となり合計60%です。ただし18問正解していても、3科目のどれかが3問以下なら40%の基準を満たせません。
18問正解で合格基準を満たす例
| 科目 | 正解数 | 判定 |
|---|---|---|
| 関係法令 | 4/10 | ○ |
| 労働衛生 | 4/10 | ○ |
| 労働生理 | 10/10 | ○ |
| 合計 | 18/30 | 合格基準を満たす |
22問正解でも不合格になる例
| 科目 | 正解数 | 判定 |
|---|---|---|
| 関係法令 | 10/10 | ○ |
| 労働衛生 | 9/10 | ○ |
| 労働生理 | 3/10 | × |
| 合計 | 22/30 | 不合格 |
合計では22問正解、220点なので60%を大きく超えています。それでも労働生理が3問正解で30%しかないため、科目ごとの40%基準に届かず不合格です。
- 全30問で18問以上正解する
- 関係法令・労働衛生・労働生理をそれぞれ4問以上正解する
通常受験者であれば、この2条件を両方満たしているか確認すると自己採点しやすくなります。
第一種・第二種の合格基準を一枚で比較
| 比較項目 | 第一種 | 第二種 |
|---|---|---|
| 問題数 | 44問 | 30問 |
| 満点 | 400点 | 300点 |
| 合計60% | 240点 | 180点 |
| 40%判定 | 5範囲 | 3科目 |
| 1問の配点 | 8点または10点 | 10点 |
| 正答数だけで合否判定 | できない | 18問+各科目4問で確認可能 |
| 総合点だけ見ればよいか | × | × |
第一種と第二種で共通するのは、得意科目だけで苦手科目を完全に補うことができない点です。まず40%の足切りを避け、そのうえで全体60%を超える必要があります。
「科目ごと40%」で間違えやすい3つのポイント
合格基準そのものは短い文章ですが、自己採点では解釈を間違えやすい部分があります。特に第一種を受験する人は、次の3点を確認してください。
有害業務10問と有害業務以外7問を別々に判定します。17問全体では高得点でも、どちらか一方が40%未満なら合格基準を満たしません。
関係法令も17問全体で40%ではありません。有害業務10問で4問以上、有害業務以外7問で3問以上を一つの目安として確認します。
総得点が高くても、一つの科目・範囲が40%未満なら不合格です。「苦手分野は捨てて得意科目で稼ぐ」という戦略には限界があります。
過去問・模試では3ステップで合否ラインを確認する
過去問を解いた後は、正解数だけを記録するのではなく、本番と同じ考え方で判定します。特に第一種は範囲別の配点が異なるため、次の順番で確認すると分かりやすくなります。
第一種なら5範囲、第二種なら3科目に分けます。最初から合計正解数だけを出すと、足切りを見落としやすくなります。
第一種は4・3・4・3・4問、第二種は各科目4問を一つの早見として確認できます。40%未満の範囲があれば、総合点を計算する前にその分野を弱点として記録します。
第一種は配点を反映して240点以上、第二種は180点以上か確認します。両方を満たして初めて、過去問上で合格基準をクリアしたと判断できます。
合格基準が分かったら、次は過去問を何年分・何周解くかを決めます。○・△・×で弱点を管理する方法や、最新問題を直前用に残す方法は、以下の記事で整理しています。
合格基準ぎりぎりを学習目標にしない
ここまで説明した40%・60%は、あくまで公式の合格基準です。勉強中の過去問で毎回ぎりぎり基準を超えているからといって、本番でも同じ結果になるとは限りません。
問題との相性や苦手分野によって正答率は変動するため、当サイトでは特定の「安全圏」を公式基準のように示しません。過去問では一度だけ基準を超えることより、複数回で全科目・全範囲が継続して40%を下回らず、総合点にも余裕がある状態を目指します。
公式の合格基準:各科目・範囲40%以上+合計60%以上
学習中:一度ぎりぎり超えれば終了ではなく、複数回の過去問で弱点範囲が残っていないか確認する
「70%なら絶対安全」「○問なら確実」といった独自の目安を公式基準と混同しないことが重要です。

合格基準と合格率は別の数字
合格基準の60%と、試験全体の合格率はまったく別の数字です。合格基準は受験者一人ひとりが満たすべき得点条件で、合格率は実際に受験した人のうち何人が合格したかを表します。
したがって、ある年度の合格率が高いから合格点が下がる、合格率が低いから合格点が上がるという意味ではありません。現行の公式案内では、科目・範囲40%以上かつ合計60%以上という基準が明示されています。

科目免除を受ける場合は通常の早見表をそのまま使わない
通常の第一種・第二種とは別に、一定の条件を満たす人は労働生理の免除を受けられる場合があります。安全衛生技術試験協会は、船員法による衛生管理者適任証書の交付を受け、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する人について、労働生理を免除科目として示しています。
科目免除者は第一種なら問1〜34、第二種なら問1〜20を解答し、通常受験者より試験時間も短くなります。そのため、このページの通常受験者向け「44問」「30問」の早見表をそのまま当てはめず、自分の受験科目を確認して判定してください。
特例第一種衛生管理者試験の合格基準
すでに第二種衛生管理者免許を受けた人が第一種を受験する場合には、特例第一種衛生管理者免許試験があります。試験範囲は有害業務に係る労働衛生10問80点と、関係法令10問80点の計20問160点です。
| 範囲 | 問題数 | 配点 | 40% |
|---|---|---|---|
| 労働衛生・有害 | 10問 | 80点 | 32点=4問 |
| 関係法令・有害 | 10問 | 80点 | 32点=4問 |
| 合計 | 20問 | 160点 | 96点以上 |
したがって、公式の配点と合格基準から計算すると、各範囲4問以上を確保しながら合計96点以上が必要です。特例第一種は通常の第一種とは受験条件や試験範囲が異なるため、詳しい勉強法は別記事で整理します。
保存用|過去問を自己採点するときの合否判定チェック
試験直前に毎回合格基準を調べ直さなくてもよいように、通常受験者向けの確認手順をまとめます。過去問を解いた後はこの順番で確認してください。
- □ 労働衛生・有害業務が4/10問以上
- □ 労働衛生・有害業務以外が3/7問以上
- □ 関係法令・有害業務が4/10問以上
- □ 関係法令・有害業務以外が3/7問以上
- □ 労働生理が4/10問以上
- □ 8点問題・10点問題を分けて得点を計算した
- □ 合計240/400点以上
- □ 関係法令が4/10問以上
- □ 労働衛生が4/10問以上
- □ 労働生理が4/10問以上
- □ 合計18/30問以上
合格基準に届かなかったら弱点範囲から見直す
過去問で合格基準に届かなかった場合は、すぐに問題数を増やすより、どの条件を満たせなかったのかを確認します。総合点が不足した場合と、特定科目の40%を割った場合では見直す場所が違います。
| 結果 | 優先して見直すこと |
|---|---|
| 複数科目で40%未満 | 基礎知識・インプット量を見直す |
| 1範囲だけ40%未満 | その分野へ学習時間を集中する |
| 全範囲40%以上だが合計60%未満 | △問題を減らして全体の正答数を上げる |
| 一度だけ基準を超えた | 別回の過去問でも再現できるか確認する |
| 同じ問題なら合格点になる | 答えの暗記になっていないか初見問題で確認する |

衛生管理者の合格基準でよくある質問
- 衛生管理者は60%取れば必ず合格ですか?
-
いいえ。合計60%以上に加えて、すべての科目・範囲で40%以上を取る必要があります。合計点が高くても、一つでも40%未満の科目・範囲があれば合格基準を満たしません。
- 第一種衛生管理者は何問正解すれば合格ですか?
-
一律の正答数だけでは判定できません。有害業務に係る問題は1問8点、それ以外は1問10点なので、同じ正答数でも得点が変わります。本記事の計算例では26問で合格条件を満たす組み合わせがある一方、27問正解でも236点となり不合格になる組み合わせがあります。
- 第二種衛生管理者は18問正解すれば必ず合格ですか?
-
18問正解だけでは足りません。関係法令・労働衛生・労働生理をそれぞれ4問以上正解している必要があります。18問以上でも一つの科目が3問以下なら40%未満となり不合格です。
- 第一種の40%は労働衛生17問全体で判定しますか?
-
いいえ。有害業務に係る10問と、有害業務に係るもの以外の7問を別々に判定します。関係法令も同じように2つの範囲へ分けて確認します。
- 得意科目で満点を取れば苦手科目が40%未満でも合格できますか?
-
できません。科目・範囲ごとの40%は足切り条件なので、ほかの科目で高得点を取っても相殺できません。
- 衛生管理者試験は相対評価ですか?
-
安全衛生技術試験協会は、科目・範囲ごと40%以上かつ合計60%以上という得点基準を示しています。受験者の上位何%を合格させるという相対評価の仕組みとしては案内されていません。
- 合格率が低い年は合格点が下がりますか?
-
現行の公式案内では、合格率によって合格基準を上下させる仕組みは示されていません。合格率は受験者全体の結果を表す数字で、個人の合否判定に使う40%・60%とは別に考えます。
- 科目免除者も同じ30問・44問で判定しますか?
-
いいえ。労働生理の科目免除を受ける人はその科目を解答しないため、通常受験者向けの問題数早見表をそのまま使いません。自分が免除対象か、受験する科目はどこまでかを公式案内と受験票で確認してください。
まとめ|合計60%を見る前に40%の足切りを確認する
衛生管理者試験の合格基準は、第一種・第二種とも科目・範囲ごと40%以上、かつ合計60%以上です。合計点だけでは判定できないため、過去問や模試では最初に足切りがないかを確認します。
第一種は44問400点ですが、1問8点と10点が混在しています。そのため正答数だけでは合否を判断できず、本記事の計算例のように26問正解で基準を満たす場合も、27問正解で基準を満たさない場合もあります。
第二種は全問10点なので、通常受験者なら30問中18問以上かつ各科目4問以上と覚えると判定しやすくなります。合格基準を把握した後は、過去問で科目別の弱点を確認し、一度だけではなく複数回で安定して基準を超えられる状態を目指してください。
この記事で確認した主な一次資料
情報確認日:2026年10月1日。試験科目、問題数、配点、合格基準、免除科目等は変更される場合があります。実際の受験時は公益財団法人安全衛生技術試験協会の最新情報をご確認ください。26問・27問の判定例など、本記事中の具体的な得点例は公式の配点・合格基準をもとに当サイトが説明用に計算したものです。
