衛生管理者はどのくらい難しい資格なのか。受験を考え始めたときに気になるのが、第一種・第二種の難易度と合格率です。
公益財団法人安全衛生技術試験協会が公表する令和7年度の全国合格率は、第一種46.8%、第二種48.7%でした。
数字だけを見ると、受験者のおよそ半数が合格しているため、簡単な資格に見えるかもしれません。
しかし、この合格率は初めて受験した人だけの割合でも、独学者だけの割合でもありません。また、第一種と第二種では試験範囲や問題数も異なります。
そのため、衛生管理者の難易度は合格率だけではなく、試験範囲・合格基準・必要な学習量まで含めて判断する必要があります。
- 令和7年度合格率は第一種46.8%・第二種48.7%
- 最新年度の合格率差は1.9ポイント
- 第一種は第二種より試験範囲が広く、問題数も多い
- 合格には合計60%だけでなく、科目・区分ごと40%以上が必要
- 公式合格率を、個人の合格確率や一発合格率として読むことはできない
- 簡単・難しいという二択より、自分に必要な資格と学習負荷を確認することが重要
- 最新の第一種・第二種衛生管理者の合格率
- 過去10年間で合格率がどう変化したか
- 合格率だけでは難易度を判断できない理由
- 第一種と第二種のどちらが難しいのか
- 衛生管理者を難しいと感じやすいポイント
- 一発合格率が公表されているのか
- 難易度を確認した後に何を決めればよいか
衛生管理者の難易度は合格率だけでは判断できない
資格の難易度を見るとき、最も分かりやすい数字の一つが合格率です。
ただし、合格率は受験者全体の結果であり、同じ条件の人だけを集めた統計ではありません。
たとえば、次のような条件は受験者によって異なります。
- 初めて受験するのか
- 過去に受験したことがあるのか
- 独学なのか、講座等を利用しているのか
- 実務や仕事を通じて関連知識があるのか
- どれくらい勉強したのか
安全衛生技術試験協会の年度別統計は、これらを分けた合格率ではありません。
したがって、第一種の合格率46.8%を見て、自分が46.8%の確率で合格するとは判断できません。
反対に、半分以上が不合格だから非常に難しい、と結論づけることもできません。
この記事では、衛生管理者の難易度を次の4つに分けて見ていきます。
| 判断軸 | 確認する内容 |
|---|---|
| 合格率 | 受験者全体でどの程度合格しているか |
| 試験範囲 | 何をどこまで学ぶ必要があるか |
| 合格基準 | 何点取れば合格できるか、足切りがあるか |
| 学習負荷 | 自分がどの程度の時間・学習を必要とするか |
令和7年度の合格率は第一種46.8%・第二種48.7%
安全衛生技術試験協会が公表している令和7年度の全国結果は次のとおりです。
| 試験 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第一種衛生管理者 | 66,401人 | 31,046人 | 46.8% |
| 第二種衛生管理者 | 40,653人 | 19,796人 | 48.7% |
第二種の方が1.9ポイント高い結果です。
ただし、この1.9ポイントだけから、第二種が第一種より1.9ポイント分簡単だと考えることはできません。
第一種と第二種では試験範囲が違うだけでなく、受験する人の条件も同じとは限らないからです。
46.8%・48.7%は、そのまま個人の合格確率を表す数字ではありません。
合格率は試験全体の状況を見る材料として使い、第一種・第二種の試験範囲や、自分が確保できる学習時間と組み合わせて判断します。
過去10年の合格率推移を見る
直近だけでなく、過去の推移も確認してみましょう。
| 年度 | 第一種 | 第二種 |
|---|---|---|
| 2025年度 | 46.8% | 48.7% |
| 2024年度 | 46.3% | 49.8% |
| 2023年度 | 46.0% | 49.6% |
| 2022年度 | 45.8% | 51.4% |
| 2021年度 | 42.7% | 49.7% |
| 2020年度 | 43.8% | 52.8% |
| 2019年度 | 46.8% | 55.2% |
| 2018年度 | 44.2% | 52.4% |
| 2017年度 | 45.0% | 54.9% |
| 2016年度 | 45.5% | 55.5% |
| 2015年度 | 55.5% | 66.0% |
安全衛生技術試験協会の公表統計をもとに整理すると、2015年度から2025年度までに、第一種は55.5%から46.8%へ、第二種は66.0%から48.7%へ変化しています。
10年前と比較すると、第一種は8.7ポイント、第二種は17.3ポイント低い水準です。
ただし、ここから試験が8.7ポイント、17.3ポイント難しくなったと読み替えることはできません。
合格率は試験問題だけでなく、受験者の構成などさまざまな要因によって変動する可能性があるためです。
合格率が下がった理由は公式には確認できない
合格率の推移を見ると、特に2015年度から2016年度にかけて大きく低下しています。
第一種は55.5%から45.5%、第二種は66.0%から55.5%へ変化しました。
このため、出題傾向の変化や法令改正などを理由として挙げる解説もあります。
しかし、安全衛生技術試験協会の公表統計からは、合格率が低下した原因そのものまでは確認できません。
確認できる事実:合格率は2015年度より現在の方が低い。
公式統計だけでは確認できないこと:なぜ合格率が下がったのか、その原因。
原因が公式に示されていない以上、特定の理由を事実として断定しない方が適切です。
第一種と第二種はどちらが難しい?
学習範囲だけを比較すると、第一種の方が広くなります。
| 比較 | 第一種 | 第二種 |
|---|---|---|
| 問題数 | 44問 | 30問 |
| 通常の試験時間 | 3時間 | 3時間 |
| 有害業務に係る労働衛生 | あり | なし |
| 有害業務に係る関係法令 | あり | なし |
| 2025年度合格率 | 46.8% | 48.7% |
第一種には、有害業務に係る労働衛生と関係法令が追加されます。
そのため、学習しなければならない範囲と問題数という意味では、第一種の方が学習負荷は大きいと考えられます。
一方、最新年度の合格率は第一種46.8%、第二種48.7%で、差は1.9ポイントです。
したがって、第一種は範囲が広いから合格率も大幅に低い、と単純に考えることはできません。
また、難易度が低そうだから第二種を選ぶという決め方も適切ではありません。
第二種では衛生管理者として選任できない業種があります。自分に必要な資格区分は、第一種・第二種衛生管理者の違いで確認してください。
衛生管理者を難しいと感じやすい3つの理由
第一種は有害業務に係る労働衛生・関係法令まで学ぶため、第二種より学習対象が増えます。
合計点だけでなく、各科目・区分で40%以上取る必要があります。苦手分野を完全には捨てられません。
関係法令、労働衛生、労働生理など、普段の仕事では触れない内容を初めて学ぶ人もいます。
合計60%だけ取ればよい試験ではない
衛生管理者の難易度を考えるうえで、合格基準は非常に重要です。
学科試験は、科目ごとに40%以上、かつ合計60%以上の得点が必要です。
第一種衛生管理者で科目内の範囲が分かれているものについては、範囲ごとに40%以上が必要です。
公益財団法人 安全衛生技術試験協会|免許試験についてよくあるご質問
つまり、合計点が60%に達していても、一つの科目や区分が40%未満なら不合格になります。
このため、衛生管理者は一部の得意分野だけで押し切るより、苦手分野を一定水準まで引き上げることが重要な試験です。
一方で、極端な難関試験と決めつける必要もない
科目ごとの足切りがあるため対策は必要ですが、必要以上に恐れる必要もありません。
- 合格基準が公開されている
- 試験科目・問題数が公開されている
- 安全衛生技術試験協会が公表試験問題を公開している
- 第一種・第二種とも毎年多くの合格者が出ている
2025年度だけでも、第一種31,046人、第二種19,796人が合格しています。
また、安全衛生技術試験協会は第一種・第二種の公表試験問題を公開しています。
したがって、試験内容が分からないまま当日を迎える資格ではありません。
必要な試験範囲を確認し、問題演習を重ねて苦手分野を減らしていくという対策が可能です。
他の資格と比べて簡単か・難しいか
衛生管理者の難易度を調べると、宅地建物取引士、社会保険労務士、危険物取扱者など、他の資格と比較した情報も見つかります。
ただし、資格ごとに次の条件が異なります。
- 受験資格
- 受験者の属性
- 出題形式
- 試験範囲
- 試験回数
- 合格基準
そのため、合格率だけを並べて、資格Aより衛生管理者の方が何倍簡単と判断することはできません。
衛生管理者について、公的機関が資格難易度の偏差値やランクを設定しているわけではありません。
独自ランキングを見る場合も、その数字を公式評価と受け取らず、どの基準で比較しているかを確認してください。
一発合格率は公式統計からは分からない
衛生管理者について、一発合格率が気になる人もいるでしょう。
しかし、安全衛生技術試験協会の年度別統計では、受験者数と合格者数は公表されていますが、初回受験者だけを分けた合格率は確認できません。
そのため、2025年度の第一種46.8%を一発合格率として扱うことはできません。
同様に、第二種48.7%についても、初回受験者の48.7%が一回で合格したという意味ではありません。
難易度より先に、第一種・第二種のどちらが必要か確認する
会社から衛生管理者の取得を求められた場合、難易度の低そうな資格を選ぶことが最初の目的ではありません。
会社側がどの事業場で衛生管理者として選任する予定なのかによって、必要な資格区分が変わります。
特に製造業、建設業、運送業、医療業など一定の業種では、第二種衛生管理者免許だけでは衛生管理者として選任できません。
したがって、第二種の方が学習範囲が狭そうだから第二種を受けるという順番ではなく、必要な資格を先に確認します。
会社から取得を求められたばかりで、資格区分だけでなく期限や費用負担も確認できていない場合は、会社から衛生管理者を取れと言われたときに確認したい7項目から整理してください。
合格には何時間くらい勉強する?
難易度を確認した後に気になるのが、実際の勉強時間です。
安全衛生技術試験協会が標準勉強時間を設定しているわけではないため、一律に何時間と決めることはできません。
当サイトでは学習計画を作る仮の起点として、第一種100時間・第二種60時間を置き、試験までの期間から逆算しています。
独学でも合格を目指せる?
衛生管理者は、通信講座の受講が受験条件になっている資格ではありません。
公表試験問題や市販教材を利用して独学で学習する選択肢もあります。
ただし、試験までの期間、自分で学習管理できるか、質問できる環境が必要かによって向いている方法は変わります。
衛生管理者の難易度・合格率でよくある質問
- 衛生管理者は簡単な資格ですか?
-
簡単と一律には判断できません。2025年度合格率は第一種46.8%、第二種48.7%ですが、この数字だけで個人にとっての難易度は決まりません。試験範囲、科目ごとの足切り、必要な学習量まで含めて考える必要があります。
- 第一種と第二種はどちらが難しいですか?
-
学習範囲と問題数では第一種の方が負荷は大きくなります。第一種は44問で、有害業務に係る労働衛生・関係法令も含まれます。第二種は30問です。ただし、2025年度の合格率差は1.9ポイントなので、合格率だけから難易度差の大きさを判断することはできません。
- 合格率が約50%なら、あまり勉強しなくても受かりますか?
-
そのようには判断できません。公表合格率は勉強時間や受験回数などをそろえた人だけの統計ではありません。また、合計60%以上だけでなく、科目・区分ごと40%以上の基準もあります。
- 衛生管理者の一発合格率は何%ですか?
-
安全衛生技術試験協会の年度統計では、初回受験者だけを分けた合格率は確認できません。そのため、第一種46.8%、第二種48.7%を一発合格率として扱うことはできません。
- 昔より衛生管理者試験は難しくなっていますか?
-
合格率は2015年度より現在の方が低くなっています。ただし、合格率の変化だけから試験そのものがどの程度難化したかを判断することはできません。また、合格率低下の原因について安全衛生技術試験協会が公式に説明しているとは確認できません。
- 初心者でも衛生管理者に合格できますか?
-
初学者だから受験できない資格ではありません。試験範囲と合格基準は公開されており、公表試験問題も利用できます。ただし必要な学習時間には個人差があります。試験日までの期間から学習計画を作ってください。
まとめ|合格率だけで簡単・難しいを決めない
令和7年度の衛生管理者試験の合格率は、第一種46.8%、第二種48.7%でした。
第一種と第二種の差は1.9ポイントですが、合格率だけから試験の難易度差を判断することはできません。
第一種は第二種より試験範囲が広く、問題数も多いため、学習負荷は大きくなります。
さらに衛生管理者試験では、合計60%以上に加えて、各科目・区分で40%以上取る必要があります。
一方で、試験範囲、合格基準、公表試験問題が公開されているため、必要な範囲を確認して計画的に対策することができます。
したがって、受験前に考えるべきなのは難易度ランキングではありません。
自分に第一種・第二種のどちらが必要なのかを確認し、試験日までに必要な勉強時間を確保できるかを順番に整理してください。
第一種・第二種のどちらを取ればよいか分からない
試験まで何時間勉強すればよいか知りたい
独学か通信講座か迷っている
通信講座を使うと決めたので比較したい
