第一種衛生管理者と第二種衛生管理者のどちらを取るべきか迷ったら、試験の難易度や勉強時間より先に、衛生管理者として選任される予定の事業場の業種を確認します。
第一種衛生管理者は、すべての業種の事業場で衛生管理者として選任できます。一方、第二種衛生管理者を選任できるのは一定の業種に限られます。
そのため、製造業・建設業・運送業・医療業などの事業場で衛生管理者になる予定なら、第二種では対応できません。
会社から衛生管理者の取得を求められている場合は、自分だけで第一種・第二種を決めるのではなく、どの事業場で選任する予定なのか、会社がどちらの資格を必要としているのかも確認しておくと確実です。
まだ会社側の取得目的や期限、費用負担などを確認していない方は、先に会社から衛生管理者を取れと言われたときに確認したい7項目を確認してください。
第一種・第二種衛生管理者の違いを先に比較
第一種と第二種の主な違いをまとめると、次のようになります。
| 比較項目 | 第一種衛生管理者 | 第二種衛生管理者 |
|---|---|---|
| 選任できる業種 | すべての業種 | 一定の業種 |
| 有害業務に係る試験範囲 | あり | なし |
| 問題数 | 44問 | 30問 |
| 通常の試験時間 | 3時間 | 3時間 |
| 通常試験の受験資格 | 共通の受験資格体系 | 共通の受験資格体系 |
| 2025年度合格率 | 46.8% | 48.7% |
| 資格選びの基本 | 第一種が必要な業種・全業種への対応が必要な場合 | 第二種で選任できる業種で必要な場合 |
最も重要な違いは、資格取得後にどの業種の事業場で衛生管理者として選任できるかです。
公益財団法人安全衛生技術試験協会も、第一種免許を持つ人はすべての業種で衛生管理者になれる一方、第二種免許を持つ人は情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など一定の業種に限られると説明しています。
公益財団法人 安全衛生技術試験協会|第一種・第二種衛生管理者の紹介・受験資格
第一種・第二種、受験資格、実務経験、取得期限まで質問に答えながら整理できます。まだ教材や講座を決めていない方は、先に自分が次に確認すべきことを整理しておくと無駄を避けやすくなります。
個人情報の入力は不要です。判定によっては「受験資格の確認が先」「まず独学で進めやすい」と表示します。
どちらを取るかは選任される事業場の業種から判断する
第一種・第二種の選び方で最初に確認したいのは、本人が普段どのような仕事をしているかではなく、衛生管理者として選任される予定の事業場がどの業種に該当するかです。
ここを混同すると、必要な資格区分を誤る可能性があります。
たとえば医療業の事業場で働く総務担当者本人が、危険・有害な作業を直接担当していなかったとしても、その医療業の事業場で衛生管理者として選任されるのであれば、第二種衛生管理者免許では対応できません。
同じように、製造業の事業場で事務職として勤務しているからといって、本人の仕事に有害業務がないことだけを理由に第二種を選べるわけではありません。
本人が有害業務を担当しているかどうかだけではなく、事業場の業種を確認することが重要です。
第二種衛生管理者では選任できない業種
労働安全衛生規則では、次の業種について、第一種衛生管理者免許、衛生工学衛生管理者免許など所定の資格を有する者から衛生管理者を選任することとされています。
- 農林畜水産業
- 鉱業
- 建設業
- 製造業(物の加工業を含む)
- 電気業
- ガス業
- 水道業
- 熱供給業
- 運送業
- 自動車整備業
- 機械修理業
- 医療業
- 清掃業
これらの業種では、第二種衛生管理者免許だけを持つ人を衛生管理者として選任することはできません。
たとえば、病院などの医療業、工場などの製造業、建設会社の対象事業場などで衛生管理者として選任される予定なら、会社側から第一種の取得を求められることがあります。
業種別の資格要件は、厚生労働省が公開する労働安全衛生規則第7条でも確認できます。
第二種衛生管理者を選任できるのはその他の業種
先ほど挙げた業種以外の事業場では、第一種衛生管理者だけでなく、第二種衛生管理者も選任資格の対象になります。
安全衛生技術試験協会は、第二種衛生管理者を選任できる業種の例として、情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業などを挙げています。
ただし、ここでも自分の仕事内容だけで判断するのではなく、実際に選任される事業場の業種を確認してください。
会社に複数の拠点がある場合は、会社全体の主な事業だけを見て判断すると分かりにくいケースもあります。
会社から取得を求められているのであれば、どの事業場で衛生管理者として選任する予定なのかまで確認しておくと資格区分を決めやすくなります。
第一種衛生管理者はすべての業種で選任できる
第一種衛生管理者免許を持つ人は、すべての業種の事業場で衛生管理者になることができます。
この点では、第二種よりも対応できる業種の範囲が広い資格です。
そのため、現在の勤務先では第二種で足りる場合でも、将来の異動や転職などまで考えて第一種を選択する考え方はあります。
ただし、対応範囲が広いからという理由だけで、すべての人が第一種を選ぶ必要はありません。
第一種では第二種にはない有害業務に係る試験範囲が加わるため、学習対象も増えます。
会社が第二種を必要としていて、今後も第一種が必要な事業場で選任される予定がないのであれば、必要以上に試験範囲を広げないという判断も合理的です。
第一種と第二種では試験範囲が違う
第一種と第二種では、試験科目の大きな枠組みは共通しています。
- 労働衛生
- 関係法令
- 労働生理
ただし第一種には、有害業務に係る労働衛生・関係法令が含まれます。
第一種衛生管理者は44問
| 科目 | 範囲 | 問題数 |
|---|---|---|
| 労働衛生 | 有害業務に係るもの | 10問 |
| 労働衛生 | 有害業務に係るもの以外 | 7問 |
| 関係法令 | 有害業務に係るもの | 10問 |
| 関係法令 | 有害業務に係るもの以外 | 7問 |
| 労働生理 | - | 10問 |
合計44問です。
第二種衛生管理者は30問
| 科目 | 範囲 | 問題数 |
|---|---|---|
| 労働衛生 | 有害業務に係るものを除く | 10問 |
| 関係法令 | 有害業務に係るものを除く | 10問 |
| 労働生理 | - | 10問 |
合計30問です。
通常の試験時間は、第一種・第二種ともに3時間です。
つまり第二種は単純に試験時間が短い資格なのではなく、同じ3時間の中で、第一種より出題範囲と問題数が少ないという違いがあります。
試験科目・問題数・試験時間は、安全衛生技術試験協会の資格紹介ページで最新情報を確認できます。
第一種と第二種の通常試験は受験資格の考え方が基本的に共通
第二種は試験範囲が狭いため、第一種より受験資格も緩いと思われることがありますが、通常の第一種・第二種衛生管理者試験は、基本的に同じ受験資格体系で確認します。
代表的な受験資格には、たとえば次のようなものがあります。
- 大学・短期大学・高等専門学校を卒業後、1年以上労働衛生の実務に従事した人
- 高校・中等教育学校を卒業後、3年以上労働衛生の実務に従事した人
- 10年以上労働衛生の実務に従事した人
ただし、実際の受験資格には複数の区分があります。また、必要なのは単なる勤続年数ではなく、労働衛生に関する実務経験です。
この記事では第一種・第二種の選び方に絞るため、学歴や実務経験の細かな判定までは扱いません。
受験申請前には、安全衛生技術試験協会の最新の受験資格表で自分がどの区分に該当するかを確認してください。
公益財団法人 安全衛生技術試験協会|第一種・第二種衛生管理者の受験資格
合格率だけで第二種の方が簡単とは判断しない
2025年度の全国の試験結果は、次のとおりです。
| 試験 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第一種衛生管理者 | 66,401人 | 31,046人 | 46.8% |
| 第二種衛生管理者 | 40,653人 | 19,796人 | 48.7% |
第二種の方が1.9ポイント高いものの、この数字だけから、個人にとって第二種の方がどの程度簡単かを判断することはできません。
第一種と第二種では試験範囲が異なるだけでなく、受験する人の属性も同じとは限らないからです。
一方で、第二種には有害業務に係る労働衛生・関係法令が含まれないため、学習しなければならない範囲そのものは第一種より狭いといえます。
したがって資格を選ぶときは、合格率の数ポイントの差よりも、まず会社で必要な資格区分を確認してください。
結局、第一種と第二種のどちらを取るべき?
資格選びは、次の順番で考えると整理しやすくなります。
- 衛生管理者として選任される予定の事業場を確認する
- その事業場の業種を確認する
- 第一種が必要な業種か、第二種でも選任できる業種かを確認する
- 会社が指定している資格区分を確認する
- どちらでもよい場合に、将来の使い方と学習負担を考える
第一種を選ぶべきケース
- 選任予定の事業場が、第二種では選任できない業種に該当する
- 会社から第一種の取得を指定されている
- 将来、製造業・建設業・医療業などの事業場へ異動する可能性がある
- 転職なども含め、選任できる業種の範囲を広くしておきたい
特に最初の2つに該当する場合は、学習負担の少なさだけを理由に第二種を選ぶことはできません。
第二種でよい可能性が高いケース
- 選任予定の事業場が第二種で対応できる業種に該当する
- 会社が第二種の取得を求めている
- 現在必要な選任要件を満たすことが主な目的である
- 第一種にしかない試験範囲まで学習する必要性が現時点では低い
この場合は、対応範囲が広いという理由だけで第一種を選ぶより、第二種で必要な資格を効率的に取得する考え方もあります。
受験する資格区分が決まったら、次は勉強方法を決めます。通信講座を利用する場合は、衛生管理者の通信講座おすすめ10社比較で第一種・第二種それぞれの料金や教材を比較できます。
迷ったら第一種と一律に決めなくてよい
第一種はすべての業種で選任できるため、将来の使い道まで考えると魅力があります。
一方で、第一種では有害業務に係る試験範囲が加わり、第二種より学習対象が広くなります。
したがって、誰に対しても第一種の取得を一律に勧める必要はありません。
会社で第二種が必要とされており、将来的にも第一種が必要になる見込みが低ければ、第二種から取得するのも自然な選択です。
反対に、会社が第一種を必要としているのであれば、第二種を先に取得しても当初の目的を満たせない可能性があります。
必要な資格を先に決め、その後で勉強量を考えるという順番にすると迷いにくくなります。
第二種を取った後に第一種へ進む方法もある
第二種衛生管理者免許を受けた後、第一種が必要になった場合には、特例第一種衛生管理者免許試験を受験する方法があります。
特例第一種では、第二種で既に扱っている範囲をすべて受け直すのではなく、有害業務に係る分野が試験対象になります。
| 科目 | 問題数 |
|---|---|
| 労働衛生(有害業務に係るもの) | 10問 |
| 関係法令(有害業務に係るもの) | 10問 |
| 合計 | 20問 |
試験時間は2時間です。
そのため、現在は第二種で十分な人が第二種を取得し、将来必要になった時点で第一種へ進むルートもあります。
ただし、会社が最初から第一種を必要としている場合に、あえて第二種を先に取る方が効率的とは限りません。
公益財団法人 安全衛生技術試験協会|特例第一種衛生管理者免許試験
第一種と第二種で衛生管理者の仕事がまったく別になるわけではない
第一種と第二種の違いを見ると、資格取得後の仕事内容そのものがまったく別になるように感じるかもしれません。
しかし、安全衛生技術試験協会は衛生管理者の主な職務として、労働者の健康障害を防止するための作業環境管理、作業管理、健康管理、労働衛生教育、健康保持増進措置などを挙げています。
第一種と第二種で最も分かりやすい違いは、どの業種の事業場で衛生管理者として選任できるかです。
資格名称だけから仕事内容を完全に二分して考えるのではなく、実際に選任される事業場の業種や業務内容を踏まえて理解する方が実態に合っています。
第一種・第二種衛生管理者の違いでよくある質問
- 迷ったら第一種衛生管理者を取ればよいですか?
-
第一種はすべての業種で選任できるため対応範囲は広いですが、第二種より試験範囲も広くなります。まず選任予定の事業場で第一種が必要かを確認し、どちらでもよい場合に将来の使い方や学習負担を比較するとよいでしょう。
- 事務職なら第二種衛生管理者で大丈夫ですか?
-
本人が事務職かどうかだけでは判断できません。衛生管理者として選任される予定の事業場の業種を確認します。たとえば医療業や製造業の事業場では、本人が事務職であっても第二種免許では衛生管理者として選任できません。
- 第二種の方が受験資格は簡単ですか?
-
通常の第一種・第二種衛生管理者試験は、基本的に共通の受験資格体系で確認します。第二種は有害業務に係る試験範囲を含まないため学習範囲は狭くなりますが、受験資格が単純に緩くなるという関係ではありません。
- 第二種を取った後でも第一種を取得できますか?
-
できます。第二種衛生管理者免許を受けた人が第一種を受験する場合には、特例第一種衛生管理者免許試験があります。有害業務に係る労働衛生10問と関係法令10問の計20問で、試験時間は2時間です。
- 第一種の方が転職では必ず有利ですか?
-
第一種は選任できる業種の範囲が広いというメリットがありますが、資格だけで転職時の評価が決まるわけではありません。この記事では会社で必要な資格区分の判断を中心に扱い、資格の転職上の評価とは分けて考えます。
まとめ|第一種・第二種は事業場の業種から判断する
第一種衛生管理者と第二種衛生管理者のどちらを取るか迷ったら、最初に確認するのは合格率や勉強時間ではありません。
衛生管理者として選任される予定の事業場の業種を確認します。
- 第一種衛生管理者は、すべての業種で選任できる
- 第二種衛生管理者は、一定の業種に限って選任できる
- 製造業・建設業・医療業などでは第二種では選任できない
- 本人が有害業務をしているかだけで資格区分を決めない
- 第一種は有害業務に係る試験範囲が加わり44問、第二種は30問
- 通常の第一種・第二種は基本的に共通の受験資格体系で確認する
- 2025年度合格率は第一種46.8%、第二種48.7%
- 第二種取得後に特例第一種へ進む方法もある
会社から取得を求められている場合は、どの事業場で選任する予定なのか、第一種・第二種のどちらを会社として必要としているのかを確認してから受験する資格を決めるのが確実です。
会社側の目的や取得期限、費用負担などがまだ整理できていない場合は、会社から衛生管理者を取れと言われたときに確認したい7項目から確認してください。
